日本エコハウス大賞

リノベーション大賞

エム・アイ・エー・アーキテクツ+鈴木道子

ph1_3910-HDR-300

ならまちの家

UA値=0.51W/㎡ C値=─ 一次エネルギー消費量=86.7 MJ/年

築85年以上の町家の全面改修。伝統建築の魅力を生かしながら、耐震性、断熱性を高め、外廊下を経由する水廻りや、段差が多い床、急勾配の階段、建て付けが悪く雨風が吹き込む木製建具などの性能向上や機能性の改善が求められた。構造は、貫構法の既存壁を再利用したうえで壁倍率を見直し、野地板、床下地、壁下地など構造合板で水平構面の剛性を高め、耐震性を強化している。さらに既存のまま残した小屋梁と束材も補強して安全性を確保。基礎と土台は、浮かし工法で全面やり替えている。また、断熱補強はもとより、間取りの工夫や植栽の配置、開口部の位置や庇の深さなどを検討。自然採光・換気・通風・日射遮熱に配慮し、自然エネルギーを生かした新旧融合の住まいを目指した。

DATA

所在地 奈良県奈良市
家族構成 夫婦+子ども1人
構造 木造軸組構法 一部伝統構法
敷地面積 242.75 m²
建築面積
延床面積 236.94 m²
設計 エム・アイ・エー・アーキテクツ+鈴木道子
完成年月所

省エネルギー性

UA値 0.51W/㎡K
ηA値 2.5
C値
一次エネルギー消費量 86.7 MJ/年
地域区分 5
屋根・天井 A種フェノールフォーム保温板1種2号 厚90㎜
外壁 高性能グラスウール16K 105㎜
床・基礎 押出法ポリスチレンフォーム断熱材厚50(立上り部)+気密パッキン
サーモスIIS(LIXIL)+Low-Eガラス
気密
その他
冷暖房 暖房:温水式床暖房(大阪ガス)+ルームエアコン(ダイキン)
冷房:ルームエアコン(ダイキン工業)
給湯 エコジョーズ 235-N070(大阪ガス)
換気 第3種換気(三菱電機)
創エネなど LED 照明(大光電機)+衛生機器節水型(TOTO)
  • ph1_3910-HDR-300

    中庭を囲むように配置されたLDK。既存部材や建具を生かしながら、内装には自然素材を使い、町家の雰囲気を残している

  • ph2_3964-HDR-300

    広い玄関土間は昔の面影を残し、牛梁を見せている。ベンチやクロゼットへの裏動線も確保して使いやすくしている

  • ph_MGM4032-Edit-300

    緩やかな段が玄関吹抜けに向かって伸び、一体感を見せる。1段目の床材は2階の床の間地板を、上り始めの柱は渡り廊下にあった2間の桁梁を再利用した。また、スティール製の手摺格子意匠は柱間に水平に入っていた貫構法をイメージしたもの

  • ph4_9932-Edit-150

    ならまちの家

  • ph8b_外観(レベル補正-モノクロ)

    外観正面の改修前

  • ph8a_市川scan自動レベル補正

    外観正面の改修後。既存の屋根瓦や漆喰、石などを再利用して、町家の佇まいを残している

  • ph9_0005-300-看板消

    周辺には、東大寺や興福寺があり、遠景には若草山を擁する。この改修プロジェクトは、奈良市町家内部改修モデル事業および景観形成地区建造物保存整備事業の補助を受けて実施した

  • figure02

    改修後断面図 S=1:200

  • figure01

    改修後平面図 S=1:200

  • ph6b_玄関(レベル補正-モノクロ)

    改修前の玄関

  • ph6a_玄関

    改修後の玄関。うす暗かった吹抜けに天窓を設けて光を採り入れた。2階階段ホールとつながる。

  • ph7b_1F和室(レベル補正-モノクロ)

    改修前は和室の続き間があった

  • ph7a_奥の間より

    改修後は和室を1間にして(下)リビングとひとつながりにしている

  • ph8c_ダンス室より-600-

    うす暗かった純和風の庭をヤマボウシ、ヤマモミジで涼やかに構成し直し、手水鉢や庭石を土に埋め込み花を生ける水盤や踏石として再利用した

  • ph1_3910-HDR-300
  • ph2_3964-HDR-300
  • ph_MGM4032-Edit-300
  • ph4_9932-Edit-150
  • ph8b_外観(レベル補正-モノクロ)
  • ph8a_市川scan自動レベル補正
  • ph9_0005-300-看板消
  • figure02
  • figure01
  • ph6b_玄関(レベル補正-モノクロ)
  • ph6a_玄関
  • ph7b_1F和室(レベル補正-モノクロ)
  • ph7a_奥の間より
  • ph8c_ダンス室より-600-

審査員講評

賞というものは、誰が見ても“スペシャル”を感じる建物に贈りたいものです。教科書に出てくるようなオーソドックスなリフォームや断熱改修では、厳しいようですが賞に値しません。それは、いくらローコストにこだわったとしてもです。奈良県の寺社仏閣が点在するエリアにおいて、今までの伝統や記憶を保持しながら、新築ではなくあえて改築を選択した設計者の心意気と、そしてこれだけのレベルでリフォームを成し遂げた技術力を大きく評価します。