2030年のスタンダード住宅を描こう

日本エコハウス大賞2019

リノベーション大賞

庇がつなぐ二世帯住宅

UA値=0.55W/㎡K C値=― 一次エネルギー消費量=69.4GJ/戸・年

大正15年(1926年)に建てられた家を、子世帯と一緒に住むために改修した。建てられた当初は平屋の和風住宅で、その後2階を増築、さらに下宿屋を営むために、増改築を繰り返した。度重なる増改築と、建築関連法規の改正により、建物にはさまざまな不具合や法的不適合が生じていた。次の世代へ家を残すためには、建物の性能の向上とともに、現行法規への適合と、維持管理動線の確保が求められた。これらを解決するために、増築部を減築すると同時に、下宿屋の間取りを生かし分離型の二世帯住宅に改修した。
デザインとしては二世帯住宅であっても、新たに住む子世帯が「わが家である」と実感できるような住宅とすることを目指し、2つの玄関に庇と格子戸を設けた。地域で歳月を重ねた歴史ある古い住宅として、記憶に残る景観を地域の街並みに提供している。

DATA

所在地 東京都武蔵野市
家族構成 親世帯1人、子世帯3人
構造 木造2階建て
敷地面積 112.28㎡
建築面積
延床面積 92.13㎡
設計
完成年月所

省エネルギー性

UA値 0.55W/㎡K
ηA値 1.4(冷房期)、1.9(暖房期)
C値
一次エネルギー消費量 69.4GJ/戸・年
地域区分 5
屋根・天井 アクリアマット14K 155㎜(旭ファイバーグラス)
外壁 スタンダード10K 100㎜(エンデバーハウス)
床・基礎 フェノバボード 45㎜(積水化学工業)
APW330+防火窓Gシリーズ(YKK AP)
気密 バリアエース 0.1(フクビ化学工業)
その他
冷暖房 エアコン(ダイキン工業)
給湯 エコジョーズ(ノーリツ)
換気 第3種換気(三菱電機)
創エネなど
  • 改修後のファサード。2世帯それぞれの玄関に庇と格子戸を設置している。写真右側には、井戸がある。改修前には床下に隠れていたが、今回の改修で再び表に出すことに。今後、庭の手入れや災害時での利用を検討中

  • 2階LD。作り付けのベンチを中心に開放的なワンルームとなっている

  • 改修前。度重なる増改築により、家のバランスが悪くなっている

  • 増改築の変遷

  • 平面図 S=1:150

審査員講評

大正15年に建てられた木造家屋を、リノベーションによって80年以上も住み続けられる家にしているのは有意義なことです。増改築を繰り返した家を、現在の法規に合わせて減築を選択しているプランに好感をもてました。東京の狭小地で、南も北も光が入らない悪条件を読み込みながら、採光や通風を確保しています。そして省エネルギー性能の面では、UA値は0.55W/㎡kと努力の成果がみられました。周辺環境を調べ上げ、徹底的にプランを考えた設計者と施主の住み継ぐ姿勢に賞を送ります。