築63年木造賃貸アパートの再生 tede
断熱等級4(0.64W/㎡K)
賃貸住宅は収益性が第一に求められるため、築古の物件は表面だけを新しくした場当たり的改修が行われるか、ロ ーコストのアパートへ建替えられることが大半だ。一方でそうした賃貸住宅は陳腐化するのも早く、長期的に不動産価値を維持できなくなることが多い。本計画では築63年の木造賃貸アパートを総合的に性能向上させることによって快適性と安全性を確保し、長期的な不動産価値を高め、安定した運営を行えるよう計画した。
改修前は計8戸の集合住宅であったが、工芸作家などの多いエリアの特性を踏まえ、1階はワークスペースとして賃貸できる5室と共有部となるラウンジに、2階は既存住戸数のまま改修し、職住近接型の集合住宅として計画した。 1階の用途変更を行うことで、木造床の弱点である下階への音漏れにも配慮している。
また、配管や設備が露出していた共用廊下は、設備の格納スペースを設けてすっきりさせ、1階は床にレンガタイルを敷き、植栽を施して明るく開放的な屋外テラスとした。こうすることで入居者同士のコミュニケーションを図る場となり、周辺物件との差別化にもつながっている。既存環境や建物の状況に応じて新築にはない魅力を備えた企画・空間づくりを行い、街の豊かさに寄与する建物としての再生を目指した。
企画・プロデュース | アッドスパイス |
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設計 | 村上康史建築設計事務所 |
施工 | 椎口工務店 |
所在地 | 京都府京都市(6地域) |
家族構成 | 1住戸当たり1~2名を想定 |
敷地面積 | 472.49㎡(142.93坪) |
建築面積 | 126.49㎡(38.26坪) |
延床面積 | 192.35㎡(58.19坪)、1住戸22.52㎡(6.81坪) |
竣工年月 | 2022年3月 |
断熱性能(UA値) | 等級4(0.64W/㎡K) |
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日射取得(ηA値) | 冷房期2.4 暖房期2.0 |
気密性能(C値) | ー |
屋根・天井 | 高性能グラスウール16K155㎜ |
外壁 | 高性能グラスウール16K105㎜ |
床・基礎 | 押出法ポリスチレンフォーム2種50㎜ |
窓 | Low-E複層アルミ樹脂複合窓 |
暖房設備 | エアコン |
冷房設備 | エアコン |
給湯設備 | ガス給湯 |
換気設備 | 第3種換気 |
創エネ設備 | 太陽光パネル9.0kW |
耐震性能 | 上部構造評点1.291 |
その他 | ー |
築63年の木造賃貸アパートをデザイン的にも性能的にも見事に改修しています。単身者用4室、ワークスペース5室をつくる改修でありながら、高性能住宅1棟分ほどの建築費用に抑えている点に驚きました。これだけの面積を改修し、
誰もが「ここに住みたい!」と思えるほどかっこよく仕上が っていると思います。手入れが行き届かず解体されてしまう賃貸アパートが全国にたくさんあります。そういった建物に再び命を吹き込めると思わせてくれる夢のある作品です。