断熱等級7（0.19W／㎡K）
田園風景が広がる農業地域に建つ平屋。建て主は農家で、外部の自然環境を感じられる住まいを要望していた。そこで、開口部の位置を南面からセットバックして深い軒下空間をつくり、昔の農家住宅にあった広い土間空間のような場所を設けた。畑仕事をしたご主人はここで昼食をとり、家族とのコミュニケーションの場にもなるような半屋外空間となった。西側にある林の影響により冬の日射取得量が少ない立地だったが、「ネオマフォーム」（旭化成建材）や高性能グラスウールで外皮性能を十分に高め、熱を逃しにくい環境をつくっている。自然エネルギーを利用することで、エアコンを使わなくても過ごせる住まいを計画した。
| 設計・施工 | 丸萬建設 |
|---|---|
| 所在地 | 茨城県結城市（5地域） |
| 家族構成 | 夫婦＋子ども2人 |
| 敷地面積 | 499.61㎡（151.13坪） |
| 延床面積 | 87.77㎡（26.55坪） |
| 竣工年月 | 2024年4月 |
| 断熱性能（UA値） | 等級7（0.19W／㎡K） |
|---|---|
| 日射取得（ηＡ値） | 冷房期1.0 暖房期1.1 |
| 気密性能（C値） | 0.1㎠／㎡ |
| 屋根・天井 | 本屋根：高性能グラスウール22K330㎜ 下屋：「ネオマフォーム」（旭化成建材）60㎜＋60㎜＋60㎜ |
| 外壁 | 高性能グラスウール16K105㎜＋105㎜ |
| 床・基礎 | 基礎内立上り：「ネオマフォーム」（旭化成建材）60㎜スカート：「ネオマフォーム」（旭化成建材）60㎜（幅910㎜） |
| 窓 | 木製窓（1.23W／㎡K）「夢まど」（アルス）＋トリプルガラス樹脂窓（0.9W／㎡K）「APW430」（YKK AP） |
| 暖房設備 | 壁掛けエアコン2.2kW |
| 冷房設備 | 壁掛けエアコン2.8kW |
| 給湯設備 | おひさまエコキュート（コロナ） |
| 換気設備 | 全熱交換型第1種換気「澄家VS90」（マーベックス |
| 創エネ設備 | 将来設置予定 |
| 耐震性能 | 等級3（許容応力度計算） |
| その他 | 劣化対策等級3／維持管理対策等級3 1次エネルギー消費量等級6／耐風等級2 |
陽だまりスペース。おままごとをしたり昼寝をしたり、気分を変えて床座で食事をすることもできる。南側の開口部は障子・窓・網戸・ガラリの4層レイヤーで生活やシーンにあわせて空間を調整する。
こもり感のある畳スペース。床を下げて畳とし、出入口を少し低めにすることで落ち着いた空間としている。
農家が暮らす住まいとして、昔の農家住宅にある広い土間空間のような、外部と繋がる場所が大切だと考えた。
開口部の位置を南面からセットバックすることで深い軒下空間ができ、家族のコミュニケーションの場となるような、室内と繋がる半屋外の空間をつくった。
できるだけ身近にある材料やサステナブルな素材を使っている。雨戸には八溝杉（県産材）、外壁には北海道杉（国産材）を採用。
外観は周辺の風景に溶け込んだ佇まいで、プランもまとまっていてきれいです。特に驚いたのは断熱等級7（0.19 W／㎡K）という断熱性能の高さです。この性能を茨城県で実現すれば、ほぼ無断熱で住めるまで高性能住宅となっていることでしょう。作品からは快適さが伝わり、さらに住んでいる人の暮らしが見えてくるような豊さを感じました。普遍的な良さがあり、どんな人でも真似がしやすいお手本にできる建物だと評価します。
