断熱等級6（0.30W／㎡K）
本計画では、小屋裏エアコンと床下エアコンを設置し、季節ごとに稼働を切り替えることで、効率的な全館空調を実現した。夏は小屋裏からの冷気を階下へ届け、ダクトで循環させる。冬は床下からの暖気が自然に上昇し、2階や各室まで行き渡る。基礎は主に地中梁で構成し、立上りを減らすことで空気の流れと床下の可動性・点検性を高めた。空調・換気機器には一般的に流通している機器を用い、維持管理や将来的な更新のしやすさにも配慮した。社内ではあらかじめ定めた「構造ルール」に則った設計により、合理的にコストを抑え、かつ耐震性に優れた構造計画を標準化しており、本計画にもその思想が反映されている。
| 設計・施工 | 正栄産業 |
|---|---|
| 所在地 | 石川県野々市市 |
| 家族構成 | 夫婦＋子ども2人(モデルハウスのため想定) |
| 敷地面積 | 255.45㎡（77.27坪） |
| 延床面積 | 163.31㎡（49.4坪）／1階97.77㎡(29.57坪）・2階65.54㎡(19.83坪) |
| 竣工年月 | 2025年4月 |
| 断熱性能（UA値） | 断熱等級6（0.30W／㎡K） |
|---|---|
| 日射取得（ηＡ値） | 暖房期1.5 冷房期1.1 |
| 気密性能（C値） | 0.5㎠／㎡ |
| 屋根・天井 | ネオマフォーム100㎜＋100㎜ |
| 外壁 | 充填：吹付け硬質ウレタンフォームA種3号90㎜ 付加：ネオマフォーム45㎜ |
| 床・基礎 | 基礎外周：押出法ポリスチレンフォーム断熱材3種bA50㎜ 土間床：押出法ポリスチレンフォーム断熱材3種bA65㎜ |
| 窓 | TWトリプルガラス（LIXIL） |
| 暖房設備 | 床下エアコン |
| 冷房設備 | 小屋裏エアコン |
| 給湯設備 | モデルハウスのためなし ※エコキュートを想定 |
| 換気設備 | 第1種熱交換換気「sumika」（マーベックス） |
| 創エネ設備 | 太陽光発電5.62kW （ネクストエナジー） |
| 耐震性能 | 耐震等級3（許容応力度計算） |
| その他 | 耐風等級2、耐雪等級1 |
沿道より外観を望む。南面の外観は沿道を往く多くの人々の目に触れるため、モデルハウスとしての玄関口である西側同様、ファサードとしての意匠的な配慮が必要な部分として考えた。日射取得を目的とした大開口と、日射遮蔽を目的とした長い庇が、シンプルで美しい造形として景観になじむ。植栽計画についても、南側に重点を置いており、内部からは、沿道の緑へのシームレスな景観を楽しむことができ、一方で外部からは、沿道へ連続した緑を提供することで、御経塚の豊かな景観の一部となっている。
内装は落ち着きのあるモダンなデザインとなっているが、南側開口から光を取り込み、自然光でも過ごせる空間を創っている。
北陸は天候の影響で外に出ることができない日が比較的多いため、屋内に居ながらも屋外的利用が可能な半屋外空間を計画した。エントランス〜屋外テラス〜リビングと床レベルと揃えることで連続性を持たせ、玄関としての用途だけでなく、外との繋がりを感じられる居場所としての役割を果たしている。
2階ルーフバルコニーには屋上緑化を計画し、沿道の緑への段階的な連続性を演出。内と外との境界をあいまいにし、自然のゆらぎを享受しながら暮らせる住まいとなっている。
構造計画が極めて美しく整理されており、スケルトン・インフィルを活用することで、構造的合理性とコストダウンを両立した点に好感をもちました。特に基礎がシンプルに仕上がっており、床下空間が広く取られている点は、空調や換気にも良い影響を与えています。外観や間取りからは見えにくい部分ですが、シンプルな基礎にこそ設計の工夫が生きており、多くの設計者にとって学びの多いプランだと感じました。
