日本エコハウス大賞2025

日本エコハウス大賞2019

リノベーション部門優秀賞

ノミネート
No.7

陰影が調和する、京都の家

ダイシンビルド

断熱等級6(0.31W/㎡K)

東京暮らしのご夫婦が、終の棲家の場所として京都を選んだ。既存の建物に手を入れ、これからの人生を静かに、心地よく過ごせる住まいへ生まれ変わらせた。リノベーションでは、階段を緩やかな勾配にする、吹抜けを設けて広がりを感じさせるなど、身体的・心理的な負担の少ない計画とした。食を中心とした施主の生活スタイルに基づき、再生した奥庭が外とのつながりをもたらす居住空間を計画。内装材には、木、紙、土などの自然素材を用い、健康的で穏やかな暮らしを支える空間とした。また、現代の省エネ基準を超える性能にも挑戦。ストック住宅の可能性を拡大し、持続可能な社会の実現に貢献する事例である。

DATA

設計・施工 ダイシンビルド
所在地 京都府京都市
家族構成 夫婦
敷地面積 68.20㎡(20.63坪)
延床面積 89.60㎡(27.12坪)/1階48.19㎡(14.57坪)・2階41.41㎡(12.52坪)
竣工年月 2024年8月

省エネルギー性

断熱性能(UA値) 断熱等級6(0.31W/㎡K)
日射取得(ηA値)
気密性能(C値) 0.5㎠/㎡
屋根・天井 吹込みグラスウール32K300㎜
外壁 HGW16K120㎜+GWボード32K60㎜
床・基礎 GWボード32K80㎜
「APW330」(YKK AP)
暖房設備 壁掛けエアコン3.6kW 1台
冷房設備 壁掛けエアコン3.6kW 1台
給湯設備 エコジョーズ
換気設備 全熱交換型第1種換気
創エネ設備 太陽光発電3.4kW
耐震性能 評点1.58
その他
  • 墨色の板壁に格子窓とすだれを組み合わせ、落ち着きのある外観を構成。
    屋根には魔除けとして親しまれる鐘馗(しょうき)さんを瓦の上に配し、細部にまで京都らしさを込めている。
    伝統的な街並みに自然に馴染む、調和のとれた佇まい。

  • 障子が幾重にも重なることで生まれる静かな奥行き。
    吹き抜けからのやわらかな光が、キッチンと食卓をやさしく照らしている。

  • 建物の奥に控えるのは、わずかな光が差し込む静かな庭。
    京都の町家らしい構成と、控えめな美しさが調和した、落ち着いた眺めである。

  • 自然光で調理ができるキッチンは、この家の中心に「食」があることを物語っている。

審査員講評

密集した京都の街並みの中で、新築以上の性能を実現したリノベーション。敷地条件の制約や隣地との兼ね合いを丁寧な工夫で乗り越えています。特に注目したのは、壁の厚みが部位ごとに違って、適材適所の断熱計画がなされていることです。屋根材や外観にも景観への配慮が行き届き、自然光の採り入れ方や三角形の庭の活用も見事だと評価しました。設計・施工の高い技術と経験が光る、まさに傑作と呼ぶにふさわしい住まいです。