日本エコハウス大賞2019

新築部門優秀賞

ノミネート
No.3

常陸大宮の平屋

サンハウス

断熱等級7(0.25W/㎡K)

茨城県常陸大宮市に建つ平屋。自然豊かな半面、夏は36℃、冬は-9℃と、厳しい気候条件とも向かい合う。軒のある切妻屋根、長方形のシンプルな間取り、柿渋塗装を施したスギ板張りの外壁など、地域になじむよう簡素で素朴な美しさを心がけた。内部の空間は緩やかにつながる一方、リビング、セカンドリビング、寝室の傍らにある畳コーナーなど、さまざまな居場所を設置。食卓を囲むのは畳敷きのリビングだ。そこからは障子を介して、建物に近接して植えた落葉樹の陰影も楽しめる。また、セカンドリビングの床を低くすることで、大きな軒下空間を外部土間としている。内装材に国産材を設えて落ち着いた空間とした。

DATA

設計・施工 サンハウス
所在地 茨城県常陸大宮市(5地域)
家族構成 夫婦+子ども2人
敷地面積 484.96㎡(146.70坪)
延床面積 97.71㎡(29.55坪)
竣工年月 2024年1月

省エネルギー性

断熱性能(UA値) 等級7(0.25W/㎡K)
日射取得(ηA値) 冷房期1.0 暖房期1.0
気密性能(C値) 0.2㎠/㎡
屋根・天井 「ネオマフォーム」(旭化成建材)60㎜+高性能グラスウール300㎜
外壁 「ジーワンボード」(アキレス)30㎜+高性能グラスウール120㎜
床・基礎 「ネオマフォーム」(旭化成建材)100㎜
「APW430」(YKK AP)+トリプルガラス木製窓(ノルド)
暖房設備 壁掛けエアコン4.0kW 1台
冷房設備 壁掛けエアコン4.0kW 1台
給湯設備 エコキュート (ソーラーチャージ機能付き)
換気設備 全熱交換型第1種換気
創エネ設備 太陽光発電8.16kW
耐震性能 等級3(許容応力度計算)
その他 LCCM住宅認定、BELS評価、長期優良住宅(劣化対策等級3)
  • セカンドリビングは、外部環境との繋がりを活かしつつ、落ち着いた空間とした。内外装に国産材を採用し、赤いソファは、この地域の農家でよく見かける毛氈(もうせん)からイメージした。ソファ下部は引き出し収納。

  • シンプルな動線計画。水廻りの床はアースカラーのリノリウム。植物性原料の天然効果による抗菌性、抗ウイルス性が、床材として注目されている。身体に優しく、最もサステナブルな床材でもある。

  • 畳のリビングでは、食卓も囲む。水平ラインを揃え、空間の重心を下げた。建物に近接して植えた落葉樹は、季節折の日射取得や日射遮蔽の一助となり、障子を介して植栽の陰影も愉しめる。

  • お引渡しの際には、PVは未設置だった。その後、有識者や仲間の工務店のアドバイスを受け、学び、住まい手ご家族に創エネへの考えを説明。理解を得て8.16kWのPV設置を行った。

  • 移り行く時と共に、住まいを地域に馴染ませたいとの想いから、簡素で素朴な建築とした。

審査員講評

まず耐震等級3であり、その計算方法として許容応力度計算を採用している点を高く評価します。さらにこの作品の間取りからは、構造計画がよくできていることがうかがえました。構造計算はただの結論であり、その前段階の間取りでいかに構造を考慮しているかが重要です。力技ではなく、巧みに計画された構造はコストにもよい影響を与えます。その点、この作品は非常にきれいな間取りと構造を考えた計画ができており、手本にしたい作品です。