断熱等級6（0.33W／㎡K）
景観法や風致地区の制約がある奈良市西大寺での計画。最大延床面積は29坪のため、無駄のない設計が求められた。玄関ホールや廊下を省き、浴室や洗面は2階に配置。吹抜けで上下階がつながる高断熱住宅の特性を生かした間取りとした。コンパクトながら2階の窓からの光を1階に届ける吹抜けやヌック、階段の踊場、スタディコーナーなど、小さな居場所をちりばめている。周辺地域に多く残る町家や古民家の外観を意識し、平入りの屋根、広い下屋根、格子を設けた。内装には吉野杉のフローリングやラワンを使用し、地元の資源を活用。リビングと庭をつなぐ濡れ縁を設け、子どもたちが庭で遊ぶ姿を縁側や食卓から眺められる。
| 設計・施工 | 大幸綜合建設（DAIKOstyle） |
|---|---|
| 所在地 | 奈良県奈良市（6地域） |
| 家族構成 | 夫婦＋子ども2人 |
| 敷地面積 | 162.73㎡（49.22坪） |
| 延床面積 | 96.06㎡（29.06坪） |
| 竣工年月 | 2023年5月 |
| 断熱性能（UA値） | 等級6（0.33W／㎡K） |
|---|---|
| 日射取得（ηＡ値） | 冷房期1.3 暖房期0.9 |
| 気密性能（C値） | 0.2㎠／㎡ |
| 屋根・天井 | 高性能グラスウール16K240㎜ |
| 外壁 | 高性能グラスウール16K120㎜＋高性能グラスウール16K55㎜ |
| 床・基礎 | 基礎外立上り：押出ポリスチレンフォーム3種bA100㎜、スカート：押出ポリスチレンフォーム3種bA60㎜ |
| 窓 | トリプルガラスアルミ複合樹脂窓「TW」（LIXIL） |
| 暖房設備 | アメニティエアコン4.0kW 1台 |
| 冷房設備 | アメニティエアコン4.0kW 1台 |
| 給湯設備 | エコキュート370L |
| 換気設備 | 全熱交換型第1種換気「DOMEO210」（ジェイベック） |
| 創エネ設備 | 太陽光発電6.08kW |
| 耐震性能 | 等級3（許容応力度計算） |
| その他 | 長期優良住宅（劣化対策等級3） |
リビング。中間領域を介して庭とのつながりをもたせた。
平入、下屋根と焼杉と格子、町家をイメージしたファサード。
玄関の吹き抜け 高断熱住宅だからこそ実現できる間取り。
ウチとソトの曖昧な境界線。濡れ縁を『中間領域』とした。
冷暖房エネルギー消費量を削減するために、パッシブ設計を前提としてQPEXによる温熱シミュレーションと並行してプランニングを進め、TWや、付加断熱、全熱交換気システムを採用し建物の高性能化を図っている。
この作品は、コンパクトながら懐かしい佇まいと、美しい日本的な情緒をふんだんに感じられる設計に好感がもてました。同時に、断熱等級6（0.33W／㎡K）の非常に優れた住宅性能も高く評価します。また、単純な設備計画にも注目しました。壁掛けエアコン4.0kWだけで全館空調を試みている点や、創エネルギー装置として太陽光発電6.08kWを搭載しているところも優れています。意匠と性能のバランスがうまくとれているエコハウスとしてお手本になる作品です。
