2030年のスタンダード住宅を描こう

日本エコハウス大賞2019

最優秀賞

軽井沢 六花荘

断熱等級6(0.256W/㎡K)

 近年、ライフスタイルの変化から軽井沢への移住希望者が増えているが、いきなり持ち家とするのは勇気がいる。一方、一般的な賃貸住宅の性能は低く、札幌と同じくらい冷え込む冬の軽井沢で快適に暮らすことはできない。そこで省エネ性能の高い賃貸住
宅を建て、自然豊かな軽井沢の暮らしの第一歩となればよいと考えた。延床面積450㎡以上の中規模な建物だが、地元の大工で建てられる木造を採用し、可能な限り県産材料を使うことで建設エネルギーを少なく抑えられるよう配慮した。軽井沢町の建築規制(1戸当たりの敷地面積が600㎡以上)に準じて、各住戸の南もしくは西面に専用庭をつくり、リビングの窓は庭に向けて大きく開いている。外で遊ぶ子どもたちに目が届くように、キッチンと窓の配置も考慮した。それ以外の部屋の窓を限定することで、各住戸のプライバシー確保と、北側の温熱環境に配慮した。敷地内の樹木は最大限残し、伐採した木の数と同じ数の苗を敷地内に植えた。またそうすることで室内への東西からの低い日射を遮る役割をもたせている。こうしてできた外部空間は、この建物を軽井沢の森の景観になじませている。

DATA

所在地 長野県軽井沢町(2地域)
家族構成 1住戸当たり1~4人暮らしを想定
構造 木下洋介構造計画
敷地面積 A棟1605.37㎡(485.62坪) BC棟2584.98㎡(781.96坪)
建築面積 A棟159.04㎡(48.11坪) BC棟321.34㎡(97.21坪)
延床面積 1階152.10㎡(46.01坪)ロフト11.29㎡(3.42坪) BC棟:1階307.30㎡(92.96坪) ロフト33.87㎡(10.25坪)
設計 暮らしと建築社
完成年月所 2022年4月

省エネルギー性

断熱性能(UA値) 0.256W/㎡K(断熱等級6)
日射取得(ηA値) 冷房期11.93 暖房期37.05
気密性能(C値) 0.2㎠/㎡
屋根・天井 吹込みグラスウール32K300㎜/同13K420~570㎜(一部)
外壁 高性能グラスウール16K105㎜+高性能硬質ウレタンフォーム75㎜
床・基礎 基礎内断熱:押出法ポリスチレンフォーム(立上り、スラブ外周1m範囲)100㎜/スラブ中心部100㎜(A棟)、30㎜(B棟)
樹脂窓[トリプルガラス](LIXIL)
暖房設備 寒冷地用エアコン(1台/戸)
冷房設備 同上
給湯設備 線熱回収型給湯器(プロパンガス)
換気設備 第1種ダクトレス熱交換換気「エアーセーブ」(キムラ)
創エネ設備 太陽光発電12.8kW/戸、パワーコンディショナー9.9kW/戸(PPA方式)
耐震性能 耐震等級1
その他 HEAT20・G2
  • B・C棟外観東側外観。駐車場の車止めには伐採木を利用

  • A棟リビング。各住戸のリビングの窓は庭に向けて開いている。キッチンは大工造作

  • B棟リビング。壁付キッチンと壁厚を造作本棚にして広く使える工夫をしている

  • C棟リビング。プライバシー確保のため、庭に植栽や木塀を立てる予定

  • 個室の窓は、天井高さに合わせて取り付けることで天井へ光がよくまわり、コンパクトなサイズでありながら明るく、屋外とのつながりも感じられる空間となっている

審査員講評

日本の賃貸住宅の建物性能が低く、これからは質の高い賃貸住宅・共同住宅をつくることが住宅業界全体の課題となっています。本物件は建物性能やシンプルな外観デザインも申し分なく、借りている人に貢献できる創エネシステムを採用しているところも素晴らしい点です。この作品が日本の高性能賃貸住宅の草分けとなり、そしてもっと気軽に都心と地方を行き来できるようにするためにも、「住んでみたい」と思える高性能な賃貸共同住宅が増えてほしいと願っています。