福島の家
施工:今野建業 構造:木造軸組構法 UA値=0.35W/㎡ C値/減圧=0.4c㎡/㎡ 一次エネルギー消費量/678MJ/㎡・年
建て主がそれまで住んでいたのは、中央に座敷が連なり、水廻りなどの生活部分が北側に押しやられた典型的な農家住宅だった。断熱材がまったく入っていなかったため、冬の厳しい寒さに命の危険を感じることもあったという。そこで、敷地内に隣接して建っていた大正期の小さな土蔵を改修し、生活の場をそちらへ移すことになった。
蔵は以前に曳家を行っており、鉄筋コンクリート基礎につくり替えてあったことが幸いし、東日本大震災で土壁が落ちたまま放置されていたものの、軸組はしっかりしていた。土台と柱にはクリ材が使われ、しかもすべて通し柱である。横架材のマツの状態もよく、これらを最大限生かしながら、十分な耐震・断熱性能を付与する改修計画を提案。土壁はすべて撤去し、構造材の不陸と欠損部分の処理を丁寧に行い、新たに設けた開口部や外皮について施工精度を高め、気密性能も上げている。
設計 | 大森典子建築設計事務所 |
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施工 | 今野建業 |
所在地 | 福島県伊達市 |
家族構成 | 夫婦(60歳代) |
構造 | 木造軸組構法 |
敷地面積 | 2061.17㎡ |
建築面積 | 74.52㎡ |
延床面積 | 82.80㎡ |
完成年月所 | 2016年8月 |
UA値 | 0.35W/㎡・K(Q値1.05W/㎡・K) |
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ηA値 | 0.9 |
C値 | 0.4c㎡/㎡ |
一次エネルギー消費量 | 678MJ/㎡・年 |
地域区分 | 4地域 |
屋根・天井 | 屋根:高性能グラスウール16K 280~300㎜ |
外壁 | 充填断熱:高性能グラルウール16K 105~130㎜ 付加断熱:高性能グラスウール16K 100㎜ |
床・基礎 | 基礎外断熱:押出法ポリスチレンフォーム3種B100㎜ 床断熱:押出法ポリスチレンフォーム3種B50㎜~100㎜ |
窓 | 木製サッシ+トリプルガラス(Low-E4+A12+FL4+A12+FL4) 一部樹脂サッシ+トリプルガラス(Low-E3+A16+FL3+A16+FL3) 南西窓には外付けブラインドを設置 |
気密 | ― |
その他 | 蓄熱床 |
冷暖房 | 暖房:床置きエアコン 冷房:床置きエアコン |
給湯 | エコキュート |
換気 | 第一種ダクトレス換気システム(日本スティーベル) |
創エネなど | ― |
その他 | ― |
応募作品のなかでも群を抜いて上質な意匠でした。日本の伝統的な建築「蔵」をリノベーションし、しっかりと断熱を施して性能を高めている点を審査員全員が評価しました。そのうえで、日射遮蔽の工夫もされて、快適な空間をつくり上げています。特に南面の大きな縦の窓は、ほかでは見ないデザインであり、意匠と性能の両立が図られています。また、キッチンや浴室、ポーチ部分を増設した25坪の設計も良く、魅力的な空間にまとめられています。1階で無理なく基本的な生活が完結し、「終の棲家」にふさわしい住まいです。