日本エコハウス大賞2019

リノベーション大賞

保田窪の家

UA値=0.44W/㎡K C値=2.0c㎡/㎡ 一次エネルギー消費量=63.7GJ/戸・年

築41年の建物を全面改修した住宅。既存の構造などを生かしながら、住みやすさにも目の行き届いた家づくりを心がけた。
耐震性については、1階と2階の区画がずれていたため、壁面と水平構面に面材を使用して剛性を高め、基礎まで力が伝達するようにして解決した。本工事中に、熊本地震が発生したが、耐震改修工事により被害を免れており、改修の効果を実感した。
耐震性だけではなく、省エネルギー性についても十分配慮している。ペットと同居するため、部分間欠暖房は想定せず、夏は2階エアコン1台、冬は床下エアコン1台のみで全館冷暖房を実現。すべての居室の環境をよくするためには、相応のエネルギーが必要になるが、高性能機器に頼るばかりではなく、冬の日射熱取得と夏の日射遮蔽によるパッシブな設計を目指した。

DATA

設計 清水洋平
施工 エコワークス
所在地 熊本県熊本市
家族構成 夫婦2人
構造 木造
敷地面積 549.39㎡
延床面積 127.24㎡

省エネルギー性

UA値 0.44W/㎡K
ηA値 2.2(冷房期)、6.78(暖房期)
C値 2.0c㎡/㎡
一次エネルギー消費量 63.7GJ/戸・年
地域区分 5
屋根・天井 高性能グラスウール10K 180㎜
外壁 高性能グラスウール14K 105㎜
床・基礎 ポリスチレンフォーム3種b 50㎜
サーモスX(LIXIL)
気密 防湿気密フィルム0.1㎜
その他 耐震診断評点1.73、耐震等級3相当の水平構面を確保
冷暖房 RAS-XJ28F、RAS-XJ28F(床下AC)(日立)
給湯 エコジョーズ
換気 第3種換気
創エネなど 太陽光発電4.88kw
  • キッチンには、作業の効率を上げる大きなアイランドカウンターを設置。生活感のある家電が見えないように工夫している

  • 廊下をなくして居室も減らしたため、空間が開放的になり、家全体が明るくなった

  • 廊下をなくして居室も減らしたため、空間が開放的になり、家全体が明るくなった

  • 改修後のLDK。構造的に必要となった柱が、キッチンとリビングの空間をさりげなくゾーン分けする役割を果たす

  • 階段下スペースの床に、エアコンを仕込んだ。このエアコン1台で全館暖房を実現

  • LDKから庭を見る。祖父の代から庭にある梅をLDKから見える位置へ移植した。移植後も見事な花を咲かせた

  • 断面図 S=1:150

  • 改修後平面図 S=1:150

  • 改修前の玄関とLDK、廊下。個室が多かったため、全体的に暗かった

  • 改修後の玄関と土間。北側・南側の両方の庭を楽しめる明るい空間となった

  • 冬期は南面開口部からの日射熱を利用する

審査員講評

リノベーションにおいて性能アップは何よりも課題です。築41年の住宅を、耐震性、断熱性、省エネルギー性、耐久性とすべてにおいてバランスよく性能アップに努めている点を評価します。設計者の感覚だけに頼ったリノベーションではなく、性能診断のチャートを用いて確実に数値に落とし込んで施工している点に好感を持ちました。そして、庭との呼応もよくできています。土間スペースと庭のつながりなど、デザインにも工夫が見られました。性能とデザインの両面で優れたリノベーション作品だといえます。