施工:分離発注方式 Q値=0.40W/㎡k ηA値=2.4 一次エネルギー消費量/62.3GJ/年
宮城県仙台市内を流れる河岸段丘の中腹に位置するこの敷地は、間口が6m、奥行き21mの細長い形状で、背後に急傾斜の雑木林を擁する。小さく建てて広く住む――狭小地の家の鉄則である。限られた空間を広く使うために、いたずらに部屋を仕切らず、家全体を快適に保つために外皮性能を高め、エネルギーを効率良く使う室内環境を目指した。
また、冬期の日射を最大限得るため、正面(南西)と裏(北東)の両サイドは間口いっぱいに窓を設け、トンネル状の空間とした。その結果、春から秋にかけて涼しい川風が屋内を吹き抜けていき、北側の窓の外には雑木林の緑が広がる気持ちよい空間となった。断面構成は、敷地のコンテクストに従って、川側から山側へとスキップする4層2階建てである。2カ所に設けた吹抜けが、熱を循環させる環境装置として機能する。
このほか、この家では建設廃棄時のエミッションを少なくする試みもしている。構造材には、ウッドマイレージの少ない地元の木を使い、露わしている。内壁は土に還る耐力面材(モイス)で仕上げを兼ね、「化粧」はほとんどしていない。目に見えるものすべてが機能的な意味をもつ。これは、ハリボテ化する昨今の住宅へのささやかな抵抗であり、素材の意味や本質に迫ることでエコの本質に近づけるのではないかと考えている。
設計 | 設計島建築事務所 |
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施工 | 分離発注方式 |
所在地 | 宮城県仙台市青葉区 |
家族構成 | 夫婦、子供2人 |
構造 | 木造在来工法 |
敷地面積 | 124.18㎡ |
建築面積 | 49.46㎡ |
延床面積 | 76.83㎡ |
完成年月所 | 2016年4月 |
UA値 | 0.40W/㎡K( Q値:1.43W/㎡K) |
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η値 | 2.4 |
C値 | 0.68c㎡/㎡ |
一次エネルギー消費量 | 69.6GJ/年 |
地域区分 | 4 |
屋根・天井 | セルロースファイバー60K 300㎜ |
外壁 | セルロースファイバー60K 145㎜ |
床・基礎 | 外・スラブ下:防蟻XPS-3b 50㎜ 内:XPS-3b 25㎜ |
窓 | APW330真空トリプル、トリプルスマージュ、 木製サッシ「エコスライド」 |
気密 | 防風透湿シート「トリオプラス」(ウルトジャパン) |
その他 | 天然スレート床と土壁に蓄熱 |
冷暖房 | 暖房:薪ストーブ、床下エアコン:パナソニックUX(補助) 冷房:エアコン(予定) |
給湯 | エコジョーズ(リンナイ)、太陽熱温水器 |
換気 | ダクトレス第一種熱交換換気システム(ルノサン) |
創エネなど | ― |
その他 | ― |
温熱的に不利な南北に細長い敷 地に建つこの家は、設計も容 易ではありません。しかし、このよう な困難な条件を生かし、南面を大きく 開口して日射取得に工夫を凝らした点 が設計の一番の魅力となりました。外 構や周辺環境との呼応も良く、利他的 な視野を持っている点も審査対象にな っています。また、図面を見てみると 無駄がなく納まった断面構成に、設計 のうまさを感じます。ところどころに 施された土壁の職人技など、総合的に 良い仕事がなされている家でした。意 匠だけでなく、もちろん性能面に関し ても熟考されています。