日本エコハウス大賞2019

優秀賞

ma 山下 真

庭屋一如・通り土間の家

UA値=0.315W/㎡K(Q値=1.03) C値=1.0c㎡/㎡ 一次エネルギー消費量/83.9kWh/㎡(自家発電除く)

 敷地は、新潟県新潟市でも日本海にほど近い閑静な住宅地に位置する。この地に移り住んできた建て主は、どこに居ても暖かい家であること、そして家族4人とペットがそれぞれの領域を保ちながら生活できることを希望していた。
 平面構成は、北側の玄関から南側のテラスを結ぶタイル敷きの「通り土間」を家の中心に配し、この土間を軸として左右に家族室と個室群とを振り分けた。高い勾配天井の家族室は奥行きがあり、3間幅の南側開口部が庭につながる。
 立面構成に関しては、街並みに配慮して前面道路側の軒を低く抑え控えめな佇まいに。外壁はスギ板縦張り一部そとん壁とし、柔らかな印象で仕上げた。敷地外周部はスギ板の塀を張り巡らせ、穏やかに視界を遮るとともに植栽の背景としている。またこの地にあった旧家の門に代わるものとして、コンクリート壁とコールテン銅で構成されたゲートを設けた。

DATA

設計 ma 山下 真
施工 オーガニックスタジオ新潟
所在地 新潟県新潟市
家族構成 4人(夫婦+子供2人+猫2匹)
構造 木造軸組み工法
敷地面積 502 ㎡(151. 55坪)
建築面積 166. 08 ㎡(50. 14坪)
延床面積 221.72 ㎡(66.93坪)うち 車庫40.49 ㎡
完成年月所 2013年10月

省エネルギー性

基礎断熱    内側 PSFⅢ100㎜+ スカート650㎜・ スラブ下50㎜
壁       付加断熱 HGW120 ㎜+HGW100 ㎜ (一部ネオマフォーム50 ㎜)
屋根・天井   垂木間充填 HGW100 ㎜x 2 +HGW100 ㎜(内不可断熱)
「APW330」(YKK AP)真空ト リプル一部クレトイシ樹脂サッシ
給湯 エコキュート(ダイキン)
冷暖房 CS-282CXR (パナソニック)
換気 SE200Rx2台
その他 太陽光パネル6.4kw(京セラ)
  • 北側道路より見る。低く長く伸びる軒先。町並みに対して控えめな佇まい

  • 南側庭より見る。庭からは平屋部分の家族棟と2階建ての個室棟の構成が明確

  • 居間・食堂としての主室。奥に台所。右手の家具に床下暖房機が組み込まれている

  • 土間は室内と庭とを緩やかにつなぎ、また冬期の蓄熱体としても機能する。土間と床との段差には床下への暖気の取り入れ口が設けられている

  • 玄関から始まる土間は庭のテラスへと伸びる
    【主な内部仕上げ】
    床:ナラフローリング、壁:珪藻土塗り壁、天井:ツガ小幅板張り

審査員講評

 総合的に見て上手な設計がされている家だと思います。断熱性能を見てもデザインとのバランスがよく、家の大きさに対してコストも現実的です。建築面積が50坪を超えているので完全な整形にするのは難しいでしょうが、温熱の観点で考えると凸凹が多いという意見もありました。40坪くらいの家ではどのような設計をするのか見てみたいです。
 外装に素材の違いを取り入れたデザインがありますが、シンプルに単一素材で板張りにして、建築の形で勝負してもよかったと思います。植栽に力を入れてみるとさらによくなるでしょう。設計がよいのでさらなる伸び代があると感じます。